公聴会

博士後期課程公聴会 (河原 常郎)

日時
令和元年7月17日(水) 16:10-17:40
場所
工学部17号棟215教室
発表者
河原 常郎
題目
MR画像を用いた変形性膝関節症の進行と膝半月板形状変化の関連性の解析
主査
中口俊哉 教授
副査
劉浩 教授,兪文偉 教授,羽石秀昭 教授(指導教員)
要旨
変形性膝関節症(膝OA:Knee Osteoarthritis)の臨床における診断の基本は一般X線撮影による画像診断であるが、MR画像を用いた、より客観性の高い定量的評価法も開発されている。本論文ではこれまで十分には研究されてこなかった半月板に着目し、MR画像から得た半月板形状特徴と膝OA重症度との関連性を明らかにすることを目指した。具体的には、以下の2つの解析を実施した。1つ目は日本人における、ある一時点での膝OA重症度別の横断的な解析である。この結果、重症例の内側半月板の後方領域の変形が、半月板変性についての過去の報告とほぼ一致していたこと、膝OAの進行との関連性がより高いのは内側への亜脱臼量よりも半月板の縦径の増大であることが明らかになった。2つ目は欧米人における膝関節を24か月にわたって追跡したデータを用いた縦断的な解析である。その結果、膝OAの進行に伴う半月板の縦径や幅の変化や、膝OA進行につながる潜在的な形状の特徴を捉えることができた。このことは、MR画像診断により早期の段階で膝OAの進行を予測し適切な治療計画を立案するなど、実利用につながる可能性を示すものである。