公聴会

博士後期課程公聴会 (山口 智子)

日時
令和2年1月10日(金) 10:00-12:00
場所
フロンティア医工学センター B棟1階会議室
発表者
山口 智子
題目
Quantitative skill assessment and visualization system for endoscopic surgery
(内視鏡下手術における手術手技定量評価と提示システムの提案)
主査
中口俊哉 教授
副査
林秀樹教授,下村義弘教授,中川誠司教授(主指導教員)
要旨
医療技術の発展に伴い,内視鏡下手術が普及している.開腹手術と比べ患者の負担が少ない一方,術野が狭く複雑な操作が求められることから,安全な手術を提供するための手術教育の重要性も増している.これまで,手術教育における手技の巧拙の評価は熟練医によって主観的に行われ,指導内容も熟練医の裁量に任される部分が大きかった.そのため,手技評価や指導内容に差異が生じ,手技のばらつきにつながる恐れがあることや,熟練医の負担が大きいことが問題となっていた.
本研究では,定量的かつ客観的な手術評価と効果的な教示が可能なシステムの構築を目的として,腹腔鏡下手術トレーニング及び内視鏡下副鼻腔手術における術具運動情報を自動で取得・定量化して,手技特徴を抽出する技術を開発した.また,手術作業工程の自動認識および熟練医との手技の差異の評価を行うシステムを構築した.
まず,手術作業特徴を定量的に示す分析指標を用いて,手術作業を横断的・時系列的に分析し評価する手法を開発した.次に,分析指標を用いて手術作業工程を自動で認識する手法の開発を行った.また,横断的分析・評価結果と時系列的分析・評価結果を提示するシステムを構築した.さらに,腹腔鏡下手術トレーニングシステムによる訓練データと,内視鏡下副鼻腔手術における臨床研究を通じて検証を行い,提案手法の有用性を示す結果を得た.提案システムは,熟練医の負担の低減や技術の早期習熟支援へ貢献することが期待できる.