公聴会

博士後期課程公聴会 (大村 眞朗)

日時
令和2年1月21日(火) 10:00-11:00
場所
フロンティア医工学センター B棟1階会議室
発表者
大村 眞朗
題目
Evaluation of Ultrasonic Backscatter and Acoustic Properties of Lymphedema Tissue
(リンパ浮腫を罹患した皮膚組織の超音波後方散乱および音響特性評価 )
主査
羽石秀昭 教授
副査
中川誠司 教授, 菅原路子 准教授, 山口匡 教授(指導教員)
外部審査委員
蜂屋弘之 教授(東京工業大学)
要旨
リンパ浮腫はリンパ管機能の停滞により引き起こされると認識されているが,軟部組織の性状との関連性や発症・治癒のメカニズムは未解明である.リンパ管は,真皮・皮下組織の結合織周辺に多く走行しており,周辺軟組織の性状評価を行う必要がある.本研究では,超音波エコー信号(後方散乱波)の特性解析によるリンパ浮腫の早期かつ進行度の定量評価法の開発を目指す.
そのために,正常および外科手術の対象となる重症度リンパ浮腫組織の性状理解を目指し,摘出ヒト組織の真皮を対象として,高周波超音波(10~50 MHz)での後方散乱特性解析(減衰・後方散乱係数・振幅包絡分布)を行った.並行して,超高周波超音波(68 MHz)による音響特性(音響インピーダンス)評価によって物性を理解し,対象組織の病理学的特徴との対応を含めて検証した.
さらに,マクロな後方散乱特性とミクロな音響特性および組織構造の関連性を同一指標で明らかにするために,後方散乱係数の実測値と理論モデルに基づく推定値を比較した.これらの比較により,数mm領域のマクロスケールでの解析において,数µmのミクロスケールの組織構造や物性を反映した組織性状評価が可能であるとの知見を得た.
最終的な臨床現場でのin vivo評価では,体動などの影響を受けずに3次元空間を高速にスキャンする必要がある.そこで,平面波を用いた超高速イメージングによる後方散乱特性解析についても基礎検討を行った.