公聴会

博士後期課程公聴会 (田村 和輝)

日時
平成31年1月31日(木) 12:30-14:00
場所
フロンティア医工学センター B棟1階会議室
発表者
田村 和輝
題目
Quantitative analysis methods of high frequency ultrasound echo signal for evaluation of tissue characterization
(高周波エコー信号を用いた組織性状評価のための定量信号解)
主査
中川誠司 教授
副査
羽石秀昭 教授, 菅原路子 准教授, 山口匡 教授(指導教員)
外部審査委員
蜂屋弘之 教授(東京工業大学)
要旨
現在の臨床用途に比して高周波の超音波を用いることで,エコー画像では見ることのできない空間分解能以下の構造を定量的に評価可能であると期待されている.そこで本研究では,より小さな組織構造や性状を定量評価することを目標に,生体から取得されるエコー信号の解析アルゴリズムを複数提案するとともに,信号劣化の原因に応じた補正法を開発した.
信号解析アルゴリズムについては,主に初期の脂肪肝の定量評価を主な目的として,これまでの関連研究で使用されてきた周波数よりも中心周波数が高い15 MHzの高周波超音波プローブを主に用いて検討を行った.生体模擬ファントムおよび計算機シミュレーションでの基礎検討の成果を踏まえて解析モデルを構築し,摘出マウス肝臓での実測と評価を行ったところ,300 μm程度の高い空間分解能で脂肪沈着の状態を評価可能となった.
信号劣化に関しては,高周波超音波が抱える減衰の問題を解決するために,信号の一部が欠落した場合に既存の信号解析法が受ける影響について主に計算機シミュレーションで検証し,新規の補正法を提案した.臨床のリンパ節エコーデータにおいて,がん転移の有無を推定する定量評価手法の前処理としえて提案法を導入した結果,信号取得時の電圧レンジが半分以下に制限されて信号の飽和が起きた際においても,がん転移の評価精度が低下しないことを確認した.