公聴会

博士後期課程公聴会 (杉野 貴明)

日時
平成29年1月17日(火) 10:30-12:00
場所
フロンティア医工学センターB棟1F 会議室
発表者
杉野 貴明
題目
内視鏡下手術支援に向けたナビゲーションシステムの技術応用による手術作業工程解析手法の構築
主査
五十嵐 辰男 教授
副査
羽石 秀昭 教授,下村 義弘 教授,中村 亮一 准教授(指導教員)
要旨
現代の外科医療分野では,患者の体表の切開を減らすことで患者の負担を軽減する内視鏡下手術の適応拡大と高度化に伴う手術の複雑化・難化の加速により,安全な治療の提供が困難になってきている.特に日本においては,外科医師数の不足が問題視されるなど,外科医への負担が集中している状況にある.したがって,こうした状況下でも信頼性の高い治療を提供し,かつ手術を効率的に運用していくために,手術手技の最適化や外科医の効果的な技術習熟支援,あるいは手術状況に応じた最適な情報提示など,外科医が手術を安全に遂行するための支援が求められている.そこで,本研究では内視鏡下手術を対象に外科医の安全な手術遂行を助ける支援システムの要素技術として,手術作業工程の自動的な特定と定量評価を可能とする分析手法を構築することを目的とする.
本研究では現在医療現場で普及が進む手術ナビゲーションシステムの作業記録装置としての側面に着目し,ナビゲーションシステムから得られる術具操作情報と医用画像情報を応用することで,手術作業を定量的に分析指標として表現し,手術手技の総合的かつ定量的評価及び手術作業工程の自動認識を行う手法を開発した.腹腔鏡下胆嚢摘出術による模擬手術実験と内視鏡下副鼻腔手術における臨床研究を通じて本手法の検証評価を行ったところ本手法の有用性が示唆された.また従来困難であった作業要素の異なる術式への適応,臨床症例での計測・分析の際の課題となる患者の個体差への対応も可能であることが示されたことから,本手法により安全かつ効率的な手術遂行支援への貢献が期待される.