公聴会

博士後期課程公聴会 (福間 康文)

日時
平成29年1月27日(金) 14:45-16:00
場所
大学院自然科学研究科2F 会議室(223号室)
発表者
福間 康文
題目
ヒト視神経線維層厚みの光学的測定方法と緑内障病眼検査への応用に関する研究
主査
羽石 秀昭 教授
副査
中口 俊哉 教授,兪 文偉 教授,大沼 一彦 准教授(指導教員)
要旨
わが国の失明の原因として最も多い眼疾患である緑内障は,その殆どがはっきりとした初期症状がなく,早期発見と進行コントロールには,視神経線維層(RNFL:Retinal Nerve Fiber Layer)の厚みを定量的に測定することが重要視されている.緑内障の早期発見を促進するという観点から,操作性に優れ,かつ患者への負担の少ないRNFL厚みの定量測定機能を備えた眼底検査装置の更なる開発は非常に重要であるといえる.
本学位論文では,眼科学の現場ですでに普及している眼底カメラをベースに,新たにRNFLの厚みを測定する光学的測定方法を考案し,また装置化することで提案方法の有効性を実験的に検証した.
本研究は,まず青色眼底写真解析方法を考案し,血管によって発生する青色画像の欠落部分の画素値の補正方法と,青色画像値からRNFLの厚みに変換する補正分布方法を開発した.次に,眼底カメラに偏光解析機能を組込み,RNFLの複屈折性で発生するリターデーションを測ることによりRNFLの厚みを推定する方法を開発した.本偏光解析計測法は,偏光状態の全体を表すストークスベクトルを1回の撮影で検出できるため,バックグラウンドからの散乱光の影響,さらに角膜によるリターデーションの影響を数値的に削除できる利点を備えている.最後に,医師らの協力のもとで,試作した装置を用いて複数の正常眼並びに緑内障眼のRNFL厚み測定を行い,両方法ともに緑内障の早期検出とフォローアップ目的の測定に有効であることを示唆する臨床試験の初期所見が得られた