公聴会

博士後期課程公聴会 (佐藤 浩)

日時
平成27年7月28日(火) 15:00-16:30
場所
フロンティア医工学センター B号棟1階会議室
発表者
佐藤 浩
題目
Multiple-input multiple-output用アンテナの結合低減手法に関する研究
主査
八代健一郎 教授
副査
伊藤公一 教授,山本悦治 教授,高橋応明 准教授(指導教員)
要旨
近年の医療分野における無線機器の普及浸透,導入ニーズは目覚ましいものがある.例えば,患者が装着した各種バイタルセンサーのデータ転送や,医療従事者へのリアルタイム映像送受信に無線使用が考えられ,有線ケーブル不使用による動作制限開放や利便性向上に寄与できる.この場合,大容量かつ低遅延な無線通信が必要となり,MIMO技術が適する.また小形で人体負担の少ない端末も求められる.MIMO技術は,単位周波数の通信容量向上の利点を持つが,アンテナ本数増加による占有体積増加の問題がある.このため,無線端末体積削減対策としてアンテナ間を近接させた場合,アンテナ間で電磁結合が生じ,アンテナ効率の劣化,最終的に伝送容量低下に繋がる.
本論文では,通信性能を維持しつつ,人体負荷の少ない小形無線端末実現のために,アンテナ間が近接した2×2MIMO用アンテナに対する結合低減手法を開発した.
初めに,1周波数で結合低減を行った既存研究を解析した.この手法を発展させ,①部品を削減した上で2周波数に対応した結合低減手法,②部品を削減した上で3周波数に対応した結合低減手法,③①と②よりさらに部品を削減した上で1周波数に対応した結合低減手法 の3手法を提案した.いずれも結合対策前のMIMOアンテナに対して,アンテナ間結合低減,アンテナ効率の向上,MIMO通信容量向上を確認した.
本論文に示すアンテナ間結合低減技術により,通信容量を低減させることなく小形なアンテナを実現でき,医療分野において,人体負担の少ないMIMO技術搭載の小形無線端末実現が可能となる.