公聴会

博士後期課程公聴会 (関根 雅)

日時
平成27年7月13日(月) 12:50-14:20
場所
自然科学総合研究1号館 3階セミナー室
発表者
関根 雅
題目
小型空気圧ゴムアクチュエーター駆動型軽量肩義手の設計開発プロシージャーに関する研究
主査
五十嵐辰男 教授
副査
下村義弘 教授,並木明夫 准教授,川平洋 准教授,兪文偉 教授(指導教員)
要旨
義手は切断患者の生活の質向上に貢献できる.手指部・前腕義手に比べて高位切断向けの上腕,特に肩義手は機能,重量増加や残存部位の情報取得困難により開発及び患者への適用が難しい.従来肩義手は能動式が多く,数少ない動力式開発例においても安定出力,広可動領域であるモーター駆動が主流であるが,多段減速機構による低い逆可動性や低出力対重量比のために硬く重い義手をもたらす.少残肢のため義手移動・操作が難しく,健常腕が持つ柔軟性が喪失しており,出力性能に加え可動領域,軽量性,柔軟性すなわち安全性は肩義手に組込むべき性質である.
本論文ではこれらの性質をバランスよく有する肩義手の設計開発プロシージャーの研究を行う.軽量かつ固有の柔軟性を持つ空気圧ゴムアクチュエーターと,その短所である可動領域と出力をアシストするデバイスを複合利用した肩義手を提案する.ベンチマークとなるパラレル/シリアル型2種類のモデル・試作機に対して,パラレル型ではリンク取付角度調整バイアスや受動柔軟装置,シリアル型には各関節におけるモーターとのハイブリッド駆動化を付加デバイスと設定した.部品寸法・使用選択などをパラメータとし,日常生活動作に基づく可動範囲,衝突時の衝撃吸収性,アクチュエーター所要力,重量を評価指標としてモデル毎に義手の最適構成を探索した.
その結果,各指標が向上する構成を導出でき,本手法により目標とする軽量肩義手の実現可能性を示した.