公聴会

博士後期課程公聴会 (立野 章博)

日時
平成28年1月22日(金) 15:30-17:00
場所
アカデミック・リンク・センター 3階セミナー室(きわみ)
発表者
立野 章博
題目
Evaluation of RF exposure for pregnant woman from wireless radio terminal
主査
山本悦治 教授
副査
五十嵐辰男 教授,高橋応明 准教授,齊藤一幸 准教授,伊藤公一 教授(指導教員)
要旨
近年,携帯無線端末から照射された電磁波による人体での健康影響についての関心が高まっている.その中でも特に,妊娠中の胎児のような発達途上の器官や組織に対する影響への不安や疑問は大きい.また,携帯無線端末の急速な発展や使用形態の多様化により,それら端末を妊娠女性が腹部近傍で長時間使用する懸念がある.しかしながら,妊娠女性や胎児に対する明確な電波防護指針はこれまで定められていない.これより世界保健機関でも,電磁波利用機器を妊娠女性が使用した場合の電磁波の胎児に対する安全性を問題としている.そこで,本研究では妊娠女性が携帯無線端末を使用した際の妊娠女性・胎児での電磁波ばく露量を高精度に評価した.携帯無線端末に使用される周波数帯での生体作用は,電磁波エネルギーの吸収によって生じる熱的作用が支配的であることが知られている.その熱的作用を測る評価指標として,SAR(Specific Absorption Rate)が世界的に使用され,現行の電波防護指針にも適用されている.本研究では,指針値が設けられていない胎児での電磁波に対する安全性評価のため,SARを基に胎児内温度上昇を求め,健康影響を与えうる温度上昇閾値と比較した.ここで,実際の人体を用いた実験的評価は倫理・技術的に困難なため,妊娠女性や胎児でのSAR・温度上昇は,数値解析により算出した.最終的に本研究では,それらの結果を基に,携帯無線端末による胎児での電波防護指針値を提案した.