公聴会

博士後期課程公聴会 (前佛 聡樹)

日時
平成25年7月31日(水) 17:00-
場所
フロンティアメディカル工学研究開発センター B号棟1階会議室
発表者
前佛 聡樹
題目
三次元超音波像を用いた消化器治療・手術支援システムの開発
主査
五十嵐辰男 教授
副査
羽石秀昭 教授,兪文偉 教授,中口俊哉 准教授,山口匡 准教授(指導教員)
要旨
近年、肝がんを始めとする消化器臓器の疾患に対する内科的治療および外科手術の手法として、ラジオ波焼灼術(RFA)や腹腔鏡下手術などの低侵襲な手技が選択されることが多い。本論文では、これらの消化器疾患に対する低侵襲手技において、三次元超音波像を用いて対象臓器内部の三次元構造情報を適切に術者へと提示する治療・手術支援システムの開発を行った。提案システムは多くの消化器疾患に適用可能であるが、本論文では対象病変を肝腫瘍と設定している。
内科的治療支援システムとしては、位置センサを使用してRFA穿刺針の位置を検出するとともに、リアルタイムの実測データから再構成した仮想三次元超音波像において、針の先端視点から疾患部や血管部を観察することが可能なシステムを構築した。
外科的手術である腹腔鏡下手術の支援システムとして、手術対象臓器の形状を指標として、センサレスで腹腔鏡像(臓器表面)と超音波像(臓器内部構造)を三次元で融合表示可能なシステムを構築した。さらに、臓器内部の血管構造を超音波像から抽出し、二次元・三次元の腹腔鏡像に重畳表示することで手術の安全性を向上させる手法を併せて提案した。
これらのシステムにより、術者は従来の手技における画像提示法と大きく変わりのない状態で、従来手法では把握しえない臓器内部の生体組織の三次元空間での広がりを容易に観察することが可能となる。ファントム実験において、重畳表示の誤差が10 mm以下と確認され、肝がん治療を想定した場合において有用な精度が得られた。また、腹腔鏡の動きや解像度が精度に及ぼす影響についても動物実験を交えて検証している。