公聴会

博士後期課程公聴会 (袁 保平)

日時
平成26年1月14日(火)
場所
発表者
袁 保平
題目
A Study on Variable Impedance Control Based on Impedance Estimation with EMG Signals for a Lower Limb Rehabilitation Robotic System
主査
五十嵐辰男 教授
副査
山本悦治 教授,兪文偉 教授(指導教員),下村義弘 准教授,佐藤満 准教授(昭和大学大学院保健医療学研究科)
要旨
リハビリテーションロボテック装置による運動機能障がい者の反復練習の補助においては,使用者の随意運動に合わせた介助自動運動(Active Assistive Movement)が望ましい.滑らかな介助を実現するために,インピーダンス制御がよく用いられている.これまで,インピーダンス制御における重要なパラメータである目標インピーダンスについては、経験によって主観的に設定されるか,または運動の方向(伸展・屈曲)によらず,一定値か線形的に変化するものと仮定されている.しかし,運動時の関節インピーダンスは使用者の神経系や筋・骨格系の状態に強く依存する.ロボテック装置のインピーダンスと使用者の関節のインピーダンスがマッチングしない場合,使用者とロボテック装置からなる系の運動も不安定となる.
本研究では,使用者の膝関節伸展・屈曲運動時の主動筋と拮抗筋の筋電位と目標インピーダンスの対応関係を実験的に獲得,解析することによって,目標インピーダンスの運動方向別非線形推定モデルを提案し,その推定モデルを用いた可変インピーダンス制御法を構築した.さらに,運動学データのみならず,これまでのリハビリテーションロボテック装置の評価に欠けている関係神経経路の興奮性についても,H反射 (Hoffmann Reflex)に基づく指標を用い,健常者と模擬片麻痺者による検証実験の評価を行った.提案手法は,従来手法と比べ,より低い筋活動で,より高い運動精度を実現し,運動神経も過度に興奮しないことを示す評価結果が得られたため,痙縮のような筋緊張異常を伴う障がい者に対する有効性が証明された.