公聴会

博士後期課程公聴会 (大西 峻)

日時
平成25年1月30日(水) 16:00-17:30
場所
フロンティアメディカル工学研究開発センター B号棟1階会議室
発表者
大西 峻
題目
2方向連続X線透視像と3D-CT像を用いた膝関節動態解析法の構築とその応用
主査
山本悦治 教授
副査
兪文偉 教授,中口俊哉 准教授,羽石秀昭 教授(指導教員)
要旨
適切な膝関節の診断や治療を行う際には,膝蓋骨を含めた膝関節の3次元動態情報を測定する必要がある.本論文では2方向のX線透視像と3次元CT像を用いた3次元動態情報解析法を構築するとともに,膝関節疾患の評価に関する応用研究を行っている.この3次元動態情報測定法はCT像から膝関節骨部である大腿骨,脛骨,膝蓋骨を抽出し,その仮想的な透視像が実際の連続X線透視像と一致するように,各骨部の位置や向きをフレームごとに決めていくことで,膝関節骨部の3次元動態を取得する方法である.
はじめに上記手法の有効性の実験的確認と精度評価のために,金属球を貼付した豚の膝関節を対象にして実験を行った.この結果所望の骨部3次元像が得られ,また,各骨部の3次元動態情報の測定精度が1.0mm,1.0deg以内であることが確認された.さらに本手法をヒトにも適用し,基本的な動作が確認された.一方,患者を対象とした際,X線透視像撮影時の屈曲運動が速いことに起因する3次元動態情報測定エラーが確認された.そこで最適化法に改良を加えて屈曲運動速度に対するロバスト性を向上させた.さらに,本手法の臨床的な応用例として,3次元動態情報から骨間距離マップおよび臨床的パラメータへの算出法を構築し,健常者10名,患者10名の膝関節動態の比較、膝関節用装具の効果測定を行った.健常者と患者間で有意差のあるパラメータを見出すなど,臨床的に価値のある評価結果が得られた.