公聴会

博士後期課程公聴会 (池本 悠)

日時
平成23年1月24日(月)
場所
発表者
池本 悠
題目
A Study on Human Reflexive Responses to Perturbation during Walking Based on a Neurobiological Model
主査
田村俊世 教授
副査
伊藤公一 教授,山本悦治 教授,五十嵐辰男 教授,兪文偉 教授(指導教員)
要旨
高齢者,半身麻痺患者を含む歩行機能低下者の歩行支援において,日常生活環境に多く発生する歩行時外乱に対する反射反応の解明が望まれている.歩行時外乱に対する反射反応は,伸張反射などの基礎反射,筋-骨格系,歩行環境の相互作用の結果である.これまで歩行時バランス維持における反射反応の役割については,定性的検討がなされているが,筋活動と身体運動との時空間関係の定量的な機序は検討が不足しており,不明確であった.
本研究では,まず非線形振動子を神経系として用いた歩行モデルを構築し,そのモデルを評価するためのバランス安定性指標を提案した.そして,遺伝的アルゴリズムを用い,滑り外乱発生時,歩行バランスを維持するための最適筋活動(筋反射)パターンを探索した.得られた筋活動パターンによって,歩行モデルはヒト歩行時反射計測実験の結果と類似した挙動を示し,提案した安定性評価指標,及び筋反射を有する歩行モデルの妥当性が示唆された.さらにその筋反射パターンの発現機序を明らかにするため,筋,伸張反射,及び前庭反射のモデルを新たに付加し,歩行時外乱に対する反射反応の自律的創発メカニズムを提案した.前記メカニズムを有する歩行モデルはヒトの反射反応と同様な筋活動,関節運動軌跡を示し,歩行及び歩行時反射の神経生物学的な解析に有効なツールであることが示された.