公聴会

博士後期課程公聴会 (梶原 正一)

日時
平成22年1月19日(火)
場所
フロンティアメディカル工学研究開発センター B号棟1階会議室
発表者
梶原 正一
題目
人体に近接して使用される携帯無線端末アンテナのSAR評価
主査
橋本研也 教授
副査
八代健一郎 教授,高橋応明 准教授,伊藤公一 教授(指導教員)
要旨
近年の移動体通信市場の急激な発展によって携帯無線端末は非常に身近な存在となり,さらなる利便性の向上をめざして,人体を含む無線ネットワークの構築や高速通信のためのアレー化技術の研究が盛んに行われている.こうした無線端末アンテナでは,生体における電磁波の比吸収率(SAR)の評価が重要な課題となる.
本論文では,人体近傍で用いられる携帯無線端末アンテナのSAR評価に関する研究を行っている.高速なSAR評価手法として,損失性媒質内部の空間的エネルギーの広がりに着目した推定方法により,人体近接時のSAR減衰特性の定式化を行い,自由空間における近傍磁界からSARを推定する手法を提案し,その検証および測定システムの研究開発を行っている.これらにより,今後益々展開が進む携帯無線端末のSAR評価を高速かつ高精度に行える可能性を示唆している.
一方,新たなアンテナのSAR評価として,磁流源である平板スロットアンテナのSAR評価を行い,電流源であるダイポールアンテナよりもSARが低減可能なことを示している.さらに,高速通信用アンテナの代表としてアレーアンテナの複雑なSAR評価を行い,現行のSAR評価法である電界プローブ法による課題を明らかにしている.