公聴会

博士後期課程公聴会 (藤井 勝之)

日時
平成18年1月24日(火)
場所
工学部15棟大会議室
発表者
藤井 勝之
題目
Study on the Electromagnetic Transmission Modeling for Wearable Devices
主査
伊藤公一 教授(指導教員)
副査
八代健一郎 教授,阪田史郎 教授,高橋応明 助教授,小川晃一 特任教授
要旨
パーソナルエリアネットワークの通信方式として,人体そのものを伝送路として利用する概念が提案されているが,その信号伝送メカニズムは明らかにされていない.そこで本論文は,電磁波と生体の相互作用の観点から,人体を伝送路として利用したウェアラブル機器の信号伝送メカニズムを解明することに主眼を置いている.
まず,数値電磁解析手法のひとつであるFDTD法を用いて,ウェアラブル送信機のモデル化を行い,その妥当性を確認した.次に,リアルな数値人体モデルの腕部に送信機を着用させ,これまで不明瞭であった全身周囲の電界分布を明らかにした.さらに計算モデルの簡略化のため,直方体均一媒質でモデル化した腕部のみを解析に用いることが可能であることを明らかにした.そして送信機と人体の等価回路を提案し,送信機のグラウンドレベルを人体と共通にすることにより整合が取れ,人体を効率よく伝送路として利用できることを明らかにした.また,受信機と人体等価ファントムを作製し,実験的にも数値解析の妥当性を確認した.次にファントム内部を流れる電流分布を計測し,人体を有効に伝送路として利用できる電極配置を明らかにした.また,信号の伝送経路についても検討を行い,信号は人体内部ではなく,表面を伝わっていることを明らかにした.最後に人体を伝送路とした際の周波数特性の検討を行い,周波数による信号伝送形態の差異を明らかにした
以上,本研究成果は,将来において人体を使用した通信メカニズムの根幹をなすものであり,非常に重要な位置づけであるといえる.