公聴会

博士後期課程公聴会 (小柳 芳雄)

日時
平成15年7月24日(木)
場所
工学部13号棟202教室
発表者
小柳 芳雄
題目
VHF帯携帯無線端末用小形アンテナと人体との相互影響に関する研究
主査
伊藤公一 教授(指導教員)
副査
八代健一郎 教授,蜂屋弘之 教授,鷹野敏明 助教授,吉村博幸 助教授
要旨
近年の移動体通信市場の拡大により,携帯無線端末は身近な存在となったが,こうした端末の小形アンテナでは,人体による放射特性劣化と,人体における電磁波の比吸収率(SAR)が重要な課題となっている.本論文では,人体の影響を特に受けやすいVHF帯無線端末を例に,人体とアンテナとの相互影響に関する検討を行っている.
人体近接に伴う放射効率の低下に関しては,有能電力を用いた効率評価方法を提案し,効率低下のメカニズムを解析している.人体近接時にインピーダンスを整合させることにより,大幅な改善効果が得られることを実験および計算機解析により検証し,その実現手段が示されている.一方,局所SAR評価に関しては,サーモグラフィ法に適した人体等価ファントムを提案し,アンテナの導体損や不整合損,および測定に際しての熱的な誤差要因を精密に見積もることにより,高精度な実験評価を実現している.これらの結果に基づき,実用状態において所望の局所SARおよび放射特性を両立するためのアンテナの条件と設計上の指針を示している.また,近傍界分布の解析によりSAR発生のメカニズムを調べるとともに,SAR低減手法の一例として無給電素子を用いた方法を提案している.