公聴会

博士後期課程公聴会 (松永 佳久)

日時
令和2年8月7日(金) 13:00-15:00
場所
フロンティア医工学センター B棟1階会議室
発表者
松永 佳久
題目
Developments of Operation-field Securing Device and Image Processing Methods for Hemostatic Procedure Analysis in Water Filled Laparo-endoscopic Surgery
(液充填下手術における手術環境構築デバイスと止血手技の定量化に向けた画像処理技術の開発)
主査
羽石秀明 教授
副査
林秀樹教授,下村義弘教授,中川誠司教授(主指導教員)
要旨
医療において鏡視下手術が普及している.患者に与える負担が少なく生活の質 (QoL) の維持に有効だが,術野が狭く複雑な操作が求められるため,医師の負担の増大が問題となっている.さらなる患者のQoLの維持と医師の負担軽減を両立させる技術の開発が必要である.本研究では,より低侵襲な治療技術である液充填下手術 (Water Filled Laparo-endoscopic Surgery: WaFLES) を安定的に実施するためのデバイス開発と,同手術におけるリアルタイムな手技のアシストを可能にする画像技術の開発に取り組んだ.
液充填下手術では,術中も体腔内の生理環境を維持することで正常組織への損傷を防ぎ,気腹手法に比べ低侵襲な外科治療が可能である.しかし,出血によって充填液が濁り,術野の観察が妨げられるという問題があった.明瞭な術野を維持するためには,流れを乱さずに急速な灌流を実現する必要がある.そこで,切開創を流入面とした体外設置型水槽デバイスを開発し,安定した灌流を可能とした.さらに,開発した水槽デバイスによって,内視鏡画像による出血領域の持続的な観察が可能になったことから,止血手技をアシストする技術の開発を行った.まず,内視鏡画像上で観察された止血手技の特徴から,臓器,出血,止血の3領域をリアルタイムに検出する機械学習手法を提案した.次に,検出した出血と止血領域のトレードオフから,止血手技の終了条件の定量化を行った.提案したシステムや手法は,安定化した液充填下手術の実施や医師の負担軽減に貢献することが期待できる.